大学からの編入体験記

はじめに

 筑波大学 情報学群 情報科学類 令和2年度(2020年)

名古屋大学 情報学部 コンピュータ科学科 令和2年度(2020年)の体験記です。

 

編入試験を受けるのは基本高専生ですが、僕の場合は4年制の大学からの編入ということで同じ環境に身を置く人たちの助けになればと思い書いています。

 

 スペック

在籍 某国立大学

1浪して現在の大学に入学 前期落ち後期入学

これらを見てくれれば分かる通り決して頭が良いとは言えません、むしろ残念です。

得意科目はなし、プログラミングの経験もありません。

TOEIC:785(IPでは800)

 

受験に至るまでの経緯

上述の通り頭が悪い上に学歴コンプという最悪の組み合わせを持ち合わせていました。

浪人しても旧帝に入ることは叶わなかったので諦めて大学で頑張ろうと思い大学生活を始めました。そんな中入学してすぐの4月に編入試験という存在を知ります。学歴コンプにとってはこれ以上ない救済でしたね。実際に行っている大学を調べてみると高校の時からずっと行きたかった名大でも編入を行っていることを知り受験を決意しました。

旧帝大高専以外からの編入を受け入れている稀有な大学ですね。また大学生活を送っている中で周囲と勉強に対する熱量の違いにも違和感を覚えており環境を変えたいと思っていました。

 

筑波大学入試

他の方もさんざん書いてくれていると思うので問題についてはさらっと触れます。

気になる方はホームページの発表をお待ちください。

 

英語

TOEICを提出するだけです。大学生だとIP試験を実施している大学があると思いますが、公開の方しか使えないので注意してください。

770くらいのやつを提出しました。

10割

 

数学1

数学1は微分積分の範囲から出題です。

(1) 陰関数を偏微分する問題です。

初めはイージーだなーと思いながら解き終えます。終了5分前にこれでは偏微分できていないことに気付くオワタ。

 

(2)広義積分の問題です。

つまるところもなくするするっと解答終了、筑波って難易度こんなんだっけ?と不安になりました。

 

数学1全体で体感5割でした。

 

数学2

数学2は線形代数からの出題です。

(1)a,b,cで表された正方行列が直交行列になるように値を定める問題でした。

直交行列の定義を満たすようにごりごり計算しました、時間がかかった記憶があります。

 

(2)固有値に関する問題でした。

(2-1)固有多項式求める問題です。

これは普通にやればいいですね、誰でもできます。

(2-2)与えられた行列の中にdという変数があり、対角化不可能なdの値を求める問題です。

ごりごりやった結果、解が求まったので終了。

 

数学2は減点あるだろうから体感9割でした。

 

情報基礎1

(1)x^nを求めるプログラムでした。

(1-1)プログラム実行時の四則演算回数を求める

(1-2)与えられたプログラムが再帰関数なので再帰を使わないよう(確かfor文使って)に直す(穴埋め)

どちらもちょっとプログラミングかじったことあればできそうな問題でした

 

(2)多項式f(x)の係数を配列に記憶し、配列とxを引数にして、xにおけるfの値を戻り値とする関数が与えられました。

(2-1)(1)同様四則演算の回数を求める

(2-2)与えられた関数のオーダーを求める

(2-3)与えられた関数と同じ動きをする関数を、計算量を改善して定義し、作った関数のオーダーを求める

上述の通りプログラミングを少しかじっただけの人間に完答できるわけもなく(2-3)以外を解いて終了

体感8割

 

情報基礎2

順列を生成するプログラムでした。

書くのが疲れたのでここだけ雑になりますが、トレース、無駄なswap関数を使わないように改良など情報基礎1と聞かれてることはあまり変わりませんでした。

関数の設計できません

体感6割

 

全体

見てくれれば分かる通り悲惨ですね。

今回は数学の易化により合格のボーダーが少し上がるのではないかと思い、帰ってるときに数学が全部できていたらと落ち込んでいました。。

まあ本命じゃないし滑り止め受験()だったので切り替えようと思って定期試験の勉強に切り替えました。

 

結果

合格者の番号を載せてくれている人がいないかTwitterで探しました。

見てみたら受かってました。

落ちたと思っていたので講義中なのに手が震えてきてしまったのを覚えています。

そんなこんなで、こんなこともあるんだなーと神様に感謝しました。(この時生まれて初めて自分の志望している学校の受験が成功しました。

 

名古屋大学入試

僕の本命です。高校の時からずっと行きたいと思っていました。学歴コンプにとって旧帝大は天の上の存在ですね。

試験科目は英語(TOEIC)、数学、コンピュータ基礎の3つです。

 

英語

TOEIC785点で提出しました。名大は募集要項に換算表が載ってるので確認してみてください。僕はこの点数だと79点になるはずです(確か)

この時点で割と不安ですね、高専生と勝負するにあたって僕が勝てるのは英語と数学なのでアドバンテージがありませんでした(多分

個人的には850以上欲しかったところです。

 

8割

 

数学

大問1

回転体の体積を求める

高校数学でもワンチャン解けるのではないでしょうか

ごりごり計算して解答終了

 

大問2

(1)行列を対角化する問題

計算ミスだけしなければ誰でもできます、2,3回因数分解できなくてとても焦りました

(2)問題文で与えられた行列がA、そのAについてA=B^2となる行列が存在するか否か

ちょっと考えたら(1)で対角化しているので、その形に変形すれば良いことに気付きました((1)で求めた直交行列Pを使って左からP、右側からPの逆行列をかける)

多分できてるでしょう

 

大問3

極方程式の問題です

r=a(1+sinΘ)

(1)グラフを書きなさい

できませんでした。。。対策しようと思っていて忘れていました。多分数Ⅲやってる高校生ならできるよね?

試験中はせめてものあがきとして、微分して座標だけ特定したり、直交座標に直してやっていましたが、時間が足りませんでした。

ホテルに帰ってよくよく考えたらカージオイドπ/2回転しただけなので書けましたね。本番に気付けなかった自分の実力不足ですね。

(2)上のグラフの面積を求める

かけてたら求められていただけに残念

 

こんな感じで数学は6~7割といったところでしょうか?

 

コンピュータ基礎

これはテロでしたね。。情報理論がでませんでした。。(勉強時間返して)

大問1

論理回路の問題です、半加算器(ハーフアダー)と全加算器(フルアダー)の問題でした。

真理値表書いたりドモルガンでNANDに変形して、最後に半加算器を使って全加算器作ってね、みたいな感じでした。弊大学では順序回路にとても重きを置いているので組み合わせ回路に対する知識不足が否めませんでした。最後のやつだけできませんでした。

8割

 

大問2

プログラミングです。ただトレースするだけの写経大会です。

解いていて何のプログラムなのかも分かりませんでした。

去年より簡単

10割

 

コンピュータ科学基礎全体で8割5分といったところでしょうか

 

面接

対策は一切しないで臨みました。こんな状態で質問に答えられるわけでもなく、酷い有様でした。圧迫面接ではありませんでしたが、僕にとっては圧迫面接見たいなものでした(自分が悪い

高専生と違い専門的なことをほとんどしていないため面接官の方もこちらの志望理由書をもとによくある質問をしてきました。聞くことがなくなったのか、時間調整がうまくいかなかったのか1分間自己アピールさせられましたね。

 

結果

不合格でした。数学の出来が良くなかった上に面接がこれでは受かるはずもありません。不合格は一日目が終わったときにほぼ確信していたので合格発表のときもあ、やっぱりといった感じでサバサバしていました。

また僕はいいとこ、このラインまでしか到達できないという限界も改めて実感しました、劣等感まみれの人生って辛いですね。。

 

使用した参考書と期間

大学一年の夏休みから始めました。大学の講義を処理しながらの勉強でバイトもしながらだったので正直しんどかったです。しかも1年生の12月まではバスケ部に所属していたので週3~4で部活もしていました。こうやって考えるとちゃんと大学生してますね。バイトは塾講師と家庭教師をかけもちでやっていました。編入試験の勉強に本腰を入れるため部活はやめました。2年の夏休みに入ってからはお休みをもらいましたが、筑波を受けた時は普通にバイトしてました。

気を付けて欲しいのが、4年制の大学に通っている人間の2年前期はとても重たい講義+多くのレポートがあるのでこれと編入の勉強の並行は非常に大変でした。あまり編入の勉強に時間を割くことができなくなるので、覚悟しておいてください。

と、前置きはこのくらいにして本題へ

 

数学

 

編入数学徹底研究: 頻出問題と過去問題の演習

編入数学徹底研究: 頻出問題と過去問題の演習

 

 

 編入試験受ける人ならみんな使ってるよね、って感じの名著。

例題を見て実際に問題解いての繰り返しで使ってました。

今現在も微分方程式と確率・統計、複素関数の復習で使用しています。

基本的に3週はして、怪しいやつを何回もって感じで使ってました。

最初からこの本を使い始めましたが基本的に問題なかったのでこの本から始めるといいと思います。大学の講義中も内職でこれやったりしてました。講義があまりにも残念なので独学して正解でした。

 

 

編入数学過去問特訓: 入試問題による徹底演習

編入数学過去問特訓: 入試問題による徹底演習

 

 

こちらも名著。上のやつ使ってる人はだいたい使ってる。

 僕個人的には解答がそこそこ丁寧に書かれておりとても好きでした。5週ぐらい(実際はもっとやってそう)したんじゃないかな?一番やりこんだ問題集です。

初見で解けない問題が多々あったので解答見て解法を覚えるようにしていた記憶があります。C問題がきついので余裕があったらでいい気がします。

これに乗ってない問題もあるので他の問題集で補いました。(行列を使って漸化式解くやつとか)

 

大学編入のための数学問題集

大学編入のための数学問題集

 

  こちらも2週くらいしました。解説が非常に丁寧なので、こちらから始めるのもありかもしれませんが、個人的には難しいと感じる問題がいくつかあった気がします。とはいえこちらをおすすめしている人も多いので中身を見てお好みで。

 

大学編入試験問題 数学/徹底演習(第3版)-微分積分/線形代数/応用数学/確率-

大学編入試験問題 数学/徹底演習(第3版)-微分積分/線形代数/応用数学/確率-

 

 これは問題いっぱいやりたい人向けの気がします。買ったけどほとんど使いませんでした。解説も丁寧ではないためできる人向けって感じがします。

 

ベクトル・行列・行列式 徹底演習

ベクトル・行列・行列式 徹底演習

 

 線形変換や基底(KerやIm)のところが不安だったのでそこ目的でやりました。中身自体は良かったと思うので余裕があれば手に取ってみてください。

 

数学は一番勉強しました。

1年の夏休みから後期まで1日2~3h

春休み1日3~4h

2年前期1日2h

こんな感じだった気がします。何回も解いていたので最後の方は1週間で該当範囲一周できてた気がします。

 

情報

プログラミング

大学ではJavaを習っていて、学校の課題をこなせる程度でした。

C言語の独学は春休みから始めましたが、遅すぎたので、もっと早くから始めることをおすすめします。

 

 とりあえずこれ使って文法とか確認してました。

 

 

 

 下に載せている定本を見て、僕にはレベルが高いと感じたため一旦これを挟みました。

初心者に分かりやすく書かれていると思います。

 

定本 Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造 (SOFTBANK BOOKS)

定本 Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造 (SOFTBANK BOOKS)

 

  筑波受ける人なら使ってるでしょう。これやっとけばとりあえずアルゴリズムとデータ構造に関しては大丈夫だと思います。3週くらいコード打ちながら読んでました。

 

改訂第4版 C言語によるはじめてのアルゴリズム入門

改訂第4版 C言語によるはじめてのアルゴリズム入門

 

 

 これはとてもお世話になりました。近年の筑波の傾向にあっている気がします。

ダイクストラなどグラフ関係のために買いましたが、順列や多項式のやつなんかも載っていて良い対策になりました。

サンプルコードもついていて自分で確かめながら実行できるので非常におすすめです。

トレースの練習にもいいかもしれない。

 

論理回路

 

はじめての論理回路

はじめての論理回路

 

  大学で使用していた教科書です。これしか使いませんでした。練習問題もそこそこ載っていて悪くはないと思います。ただ、名大には適しているとは言えないので名大のシラバスで使っている教科書を使うと良いかもしれません。

 

情報理論

 

 

情報理論のエッセンス

情報理論のエッセンス

 

 

最初からこれやっとけばよかったってくらい理解が深まりました。

通信路とかこれでちゃんと理解できるようになった。演習問題も多めでおすすめです。

 

プログラミング

春休み4~6h

前期、夏休み2h

 

論理回路

前期、夏休み1h

 

情報理論

同上

 

多分こんな感じだと思います。実際には内職いっぱいしてたのでもっと勉強してます。

 

英語

これに関してはほとんどアドバイスできません。

TOEIC(IP)は大学一年の7月に2回目をうけたら800点がとれたので勉強しないで公開の方を受けました。しかし、それで点が取れるはずもなく1回目は650点と悲惨な目に。

これに懲りてTOEIC1週間前に1日2時間ほど公式問題集と文法の本をやったところ730を超えてくれたのでそこからは勉強せずに受験をし続け最終的に785になりました。

個人的にはすごく微妙な点数でなんとも言えませんでした。

 

振り返り

僕の場合は周りに編入試験を受けることを知らせていました。そのためドイツ語の前には毎回煽っていただき()、モチベを維持していました。でも、受けることは言わないのがおすすめです。メンタルにくるので。それから頭の良い子たちと一緒にいる、あるいは友達になりましょう。そういう人たちといると勉強も自然とするようになってきますし、教えてもらえることもたくさんあります(僕も実際にプログラミングを教えてもらいました、本当に感謝です)。とはいえ、僕は基本ぼっちで過ごしてました。人付き合いは狭く浅くでしたね。また編入の情報がほとんどなかったので親に借金して通信の予備校に過去問を手に入れるためだけに6万払いました。受験代もほぼ自分で出していたので受ける人はこのくらいの覚悟をもって受けたほうがいいです。

編入試験の勉強を通じて色々な人に応援してもらいました。本当にありがとうございました。

 

 

 

Twitter: 

https://twitter.com/2rfx5H6

 

P.S.

成績開示が来ました

僕の知り合いはみんなこれより高いです。恐らく合格最低点かと思われます…

落ちたと思っていても案外何とかなるときもありますね

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